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恋の声

第4章 突然の…


「よし!」気合い十分です!
新しいレーヨンの白いシャツに新しいスーツに袖を通す。髪の毛はもちろんストレートやや内巻きにワンカールだけさせている。
昔に比べると化粧だって上手になった。

服装は制服ではなくオフィスカジュアル。
見た目は色々言われることはないが、初めて会う方々に不潔に思われないように気遣いだった。
決してイケメン声優に会うからじゃない。

2年前から都内で一人暮らしを始めた。
義理の父、和田さんが持っているマンションの一室を借りた。
和田さんは家賃は良いと言ったが、ほかに住んでいる人がいる手前そんなことは出来ないと説得して払っている。

職場まで自転車で10分とかからない。
ロードバイクではないが、まぁ一応ママチャリではない自転車に乗り平坦な道を進む。

新しく声優事務所として建ったビルに入る。
社長もまだ来ていない。
鍵を開けて、まず室内の掃除機をかけた。
一応所長から社長になった所長のために、コーヒーの豆の準備と今日くる声優さんたちのお茶の準備。
スケジュールと今後の方向性を合わせて確認する予定であった。

8時半に社長が出勤
「おはよう」

「おはようございます」

「今日から2人だけどよろしくね。」


まずは、阿部綾都さんの訪問を待つ。
阿部さんは今日は午後からアフレコがあり午前9時に事務所に来る予定。
私は緊張が高まるなか時計は8時50分を指していた。

「おはようございまーーす。阿部でーす。」
なんだかアニメで何度も聞いたことがあるような、好青年の声がした。
「お!阿部くんお久しぶり、幕末らぶのゲーム以来だね」

「そうですねーーあれ?その子が俺のマネージャーになるこ?」

「はい!瀬戸川雪穂と申します。よろしくお願いします」
確かに噂通りのイケメンであった。
色白で可愛らしい顔をしている。線が細いがやはり男性で痩せているがヒョロヒョロという感じでもない。焦げ茶色の髪に今時の男の子と言うような黒いスキニーに上はダボっとしたトレーナーを着ていた。
目が合うと、阿部さんは数秒、私のことを見つめた
そしてニッコリと底が見えないような笑みを浮かべた
「良いの?こんなに可愛い。手出しちゃうよ?」

「いやいや困るね。大事なマナだから」

社長と阿部さんは乙女ゲームで親交があるらしかった


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