恋の声
第6章 これはマネージャーの仕事じゃない!?
「あんまり上手く出来なくて…俺はどちらかと言うと今まで年齢設定が具体的ではない成人している人の役が多かったのと、少女漫画は初めてで…」
台本をめくりながら考え込んでいる様子だ
確かに瀬戸さんは今まで、基本の役は実年齢より上の役ばかり。高校生のしかも爽やかなヒーローは演じていない。
しかしこのドラマCDで人気を集めれば、今後アニメ化された場合にヒーロー役ができるかもしれない。ドラマCDも大切なチャンスだ。
「そうですね…しかし大切なのは瀬戸さんが選ばれたこと。 明らかに高い声やただ爽やかな声を演じ手に求めるなら、それに見合った人をキャスティングするはずです。きっと瀬戸くんになった理由がある筈ですから」
瀬戸さんもこの桜木晴矢
と言ういかにも春風のようなもの名前の男との共通点を探していた。
[瀬戸さんってかなり綺麗な顔立ちをしている…
鼻筋は通っているし、目は少し切れ長で大きくはないが目力もあるって…髪は真っ黒でこれはパーマなのか天然なのか?少しウェーブがかったツーブロックのヘアスタイルがよく似合う。いつも、シャツを着ているのか清潔感もあっていいと思う。]
瀬戸さんを無意識に観察していた為、凝視していたことに気づいた。
「あんまり見ないで下さい俺も恥ずかしいです。」
少し照れたように頭をかいている。
なんだかこの照れている姿も見覚えがあるような…
「俺、気付いたんですけど…なんかこの桜木くんと身長とか体格がなんとなく似てる気がするんですよね…」
「確かに…桜木くんのプロフィールに180センチって書いてましたね。どことなく骨格の雰囲気も似てますよ?」
骨格が似ているということは、声が似ている。
同じような声が出せる体をしているということだ。
「いや実は俺180センチないんですよね。」
「え?でもプロフィールには…」
「結構前の事務所の先輩たちが身長サバ読んでる人が多くて…女性って賢いから、キャストの人たちがみんなで写ってる写真とか見ると気づくじゃないですか?170って書いてるのに、明らかにあの人と身長差あるよね?みたいな感じに。」
「あぁーまぁ言いたいことは分かります。」
「俺はそんなに低いほうじゃないから、お前が隣に来るとバレるだろって。2センチくらい嘘ついとけって」