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恋の声

第7章 それダメです

「首に何か出来てる…」

瀬戸さんからされたところ…キスマークをみたいになってる。人生で初めてつけられたキスマークだった。
髪がボブヘアなので、分かりにくいが耳にかけたり、首を傾げたら見えてしまう位置だった。

「キスマークって、こんな内出血みたいな…赤紫色なんだ…漫画みたいにピンクとかにはならないんだ…」

独り言で呟いたことが恥ずかしい
また明日職場で会うのに、どんな顔して会えばいいのだろう。
しかし、気をつけていれば見えない位置で良かった。見えていたら絆創膏を貼ったり、明らかに目立つカモフラージュをしなければいけない所だった。


そのままシャワーを浴びて、洗面所で髪を乾かし、寝室に移動する。
スマートフォンを充電するために寝室のベッドの頭元に持っていく。たまたま画面が光って画面に目を向ける。

22:50
瀬戸柊一郎
[明日、改めて話がありますから。
収録が終わってから、待っていてください]


瀬戸さんから連絡が来ていた。
返事をしなければ。

23:15
瀬戸川雪穂
[夜遅くに失礼します。お仕事の話でしたら、伺います。お疲れ様です。]


釣れない返事を返してから、ベッドに入った。
彼は私のことをからかっているのだろうか。
きっとモテる外見をしているから、相手なんてたくさんいるだろうな。
私である必要があるんだろうか…


「……佐々くん…会いたいよ…どこにいるの?」
不思議と涙が出てきた。自分から縁を切ったくせに、会えなくなると彼を忘れた日がなかった。
きっと私のことなどとうに忘れてもしかしたら結婚もしているかもしれない。

佐々くんは自分が1番腐っているときに、1番親身になって話を聞いてくれた人だった。
落ちているときに会ったから好きになったのかもしれない。
しかし。頑張っていたらまた彼に会えるのではないかという、にわかな期待もこの4年間あった。


私は首筋の瀬戸さんが、つけたであろうキスマークを思い返した。あの綺麗な顔が私の首筋に舌を這わせて吸い付いたのかと思うと変な感情が湧き上がる。

なんだろう違和感があった。
膣の周りにヌルッとした不思議な感覚がある。
まだ生理が来るには早い。

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