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加藤さんが居たころ、ここまでの嫌がらせはされていなかった。
大抵みんなの前でいわれのないことを指摘して怒鳴るものだった。
悪質になってきているのは私にも分かった。

前は同期の女の子たちとも普通に会話していたが、誰一人話しかけてくれる人はいなくなった。
飯田さんすらも私を無視していた。
私の挨拶に返事を返してくれる人は1人もいない。
ただただ周りから私の困った顔を見てクスクスと笑い声が聞こえるばかりであった。

もうこんな日々が何ヶ月続いただろう…

昼休みは唯一オフィスから出ていける時間。
仕事の区切りがついてから、急いでお弁当とお茶を手に会社から飛び出した。
仕事中トイレに行けば、PCのデータは消される。取引先の営業の男性には、みな私がアバズレだと噂をされる。上司も見て見ぬ振り。
昼休みは会社を忘れられる。

昼休みに、私には楽しみがあった。
オフィス街を抜けると街中なのに小さな公園がある。遊具も小さな滑り台しかない、昼だというのに賑わっていない公園。
公園に着いてキョロキョロと見渡す。
まだ来ていないのかな…？
ベンチや近くの自販機を目で探していると、私の待っていた声がかかる

「お疲れ様。今日は早いな！」
振り返るとそこには背が高い男性が1人。
とても良く通る声がしかし心地よく私の耳に入ってくる。