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さよなら。こんにちは。

第7章 暗闇

放課後に生徒会室での資料まとめ。
バタバタ忙しなく動いていると感じる視線。
窓のほうを見ると屋上の縁に座り足をぶらぶらさせて、こちらを見ているあいつがいた。
急いで窓を開けるとびっくりした顔で見ている。
そうこうしているうちにあいつは、その場で立ち上がった。
俺達は慌てて駆け出した。
ダメだ!!
辞めてくれ!!


でも・・・
間に合わなかった。


花壇の植え込みの近くに倒れていたあいつは、救急隊員が簡単な処置をしてもピクリとも動かず、担架に乗せられても反応がなかった。


遺書があったと聞いた時
あ~そうか、そうだよな。
俺達が全部、悪いから
話を聞かない俺達が・・・。
病院に駆け付けたあいつの友達が
処置をされているあいつの名前を叫んだ!!
『美海(みか)!!また笑って私の名前を呼んでよ!!』
「み・・・か!?」
『何度も違うって抗議したでしょ!!それなのに決めつけて・・・美海は“持田美海”なの!!』
「えっ・・・!?」
『美海の事、返してよ!!返してよ!!』
俺の服を掴んで泣き叫びながら、繰り返される言葉に、なにも言えなかった。
『美海、ひどい事たくさんされたのに・・・遺書には、あんた達の事一言も書いてなかった!!でも私は美海みたいに優しくないんだから!!』
書いてない・・・?
どういうこと?

お父さん
お母さん
お姉ちゃん
おばあちゃん
天国で会えなくて、ごめんなさい


遺書には、そう書かれていたと聞いた。

たった一人で孤独と戦っていたあいつ・・・持田美海の言葉を聞かなかった俺達を罵ってくれたら良かったのに・・・良かったなんてきれい事・・・そんな事もきれい事。




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