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惰性同棲

第2章 惰性同棲


「ただいまー」

いつものようにダルそうなカイトが帰ってきた。

「昨日はごめん。突然泣いたりして」

「おお?素直やん。めずらしい。…解決してないんやろ?どした」

その察する能力はどこから湧いてきたんだろう。今までそんないい男じゃなかったのに。

「なんでもないよ、っていうか、話すほどのことでもないしさ」

「ふーん。まあ、なんか気ぃ向いたら聞かせてや。てか、お寿司まだなん?おっそいなあ、ふざけとんのか?」

イライラした様子で、カイトがウロウロしている。この人は本当にじっとできない。かく言う私も、回るタイプの椅子で今くるくると回っているが。

「あ、そういえば、晴子好きやからイクラ増やしといたで」

「金持ちの所業〜、流石です」
手を合わせて頭を下げる。イクラ好きとか言ったっけか?と思う。意外と細かいこと覚えてる人で、尊敬する。

私だってカイトのために好物のグラタンを作ったり、おでんを煮たり色々しているけど。

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