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惰性同棲

第2章 惰性同棲


適当に過ごしているとお寿司屋さんが来た。
カイトが受け取ったりお金を払ったりしてくれた。

「食おうぜ」
「やったー!」

子供のようにはしゃぎながら、輝く寿司たちを見つめる。なんてうまそうな食べ物。

「いっただっきまーす」

イクラを食べる。美味しい。
今日初めてのまともな食事に涙が出そうになる。

「まって、わさびつけすぎた」
カイトが涙ぐんでいる。
平凡、そんな言葉が似合う今がちょっと怖い。

「アホちゃう、せっかくのマグロが〜あーあ」
顔を赤くして咽せているカイトはちょっと可愛い。

「あー、ミスった。なんも考えてなかった」

水を飲みながらカイトが笑う。私も笑う。

「ほんまに、ありがとう」
「何がやねん。礼なんかええわ気持ち悪い」

ちょっと照れているのがわかる。かわいい。
私も素直に礼を言ったのが少し恥ずかしくなる。

2人の間に生まれた不思議な無言の間で、また笑ってしまった。カイトが帰ってきてからずっとニコニコできている。

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