
惰性同棲
第2章 惰性同棲
「お寿司むっちゃ美味しかったな。もう歩けへん…。マジで苦しい」
カイトがお腹を抑えて項垂れている。
「赤ちゃん孕んでる?」
ぴちっとしたTシャツを着ているから、膨らんだお腹が目立つ。
「晴子の子供孕んだかも」
「それはきしょい」
2人で笑っている時間が1番楽しい。
「ま、明日の朝には産まれるなあ」
「汚い」
さっきまで落ち込んでいたのが嘘のように心が晴れた。とはいえまだモヤモヤはする。
「あ、そうや。食後にこんな話するのもあれやけどさあ。俺行きたいところあるねん」
カイトが携帯をいじって、何かの画像を開く。
「これ」
何かの口コミサイトのようで、よく見るとラブホテルだった。
「高級ラブホ。行きたない?」
画像をスライドして見ていくと、大きなベッドにプール、しかも自由にカラフルにライトアップもできる。海外セレブの家さながらの浴室。
「え、めっちゃ行きたい」
「ここ、この前晴子が行きたいって言ってたレストランの近くやねん。来週土日休みやったよなあ」
「うん、休み!」
カイトがニヤっと笑う。
「決まりですなぁ」
