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狂恋 ~狂おしい恋に身を焦がす~【BL】

第1章 10年ぶりの再会

「…ならオレの本心も分かっているんだろう?」

「罪悪感を感じていることは、薄々気付いていました。しかし突然去ってしまうなんて、思わなかったんですよ」

そう言って苦笑する。

「いつかは罪悪感も消え去るだろうと、楽観視していたのは悪かったとは思います。ですが何の相談も無く、消えることはないじゃないですか」

「言えるはず…なかった。お前の本気が分かるたびに、口が重くなっていったんだよ」

「そうでしたか。私は少し、あなたを追い詰めすぎましたね。すみません」

謝るのはオレの方なのに…。

利人に優しく抱き締められると、何も言えなくなってしまう。

「ですが今でも両想いなら、それこそその罪悪感を『若さゆえの過ち』にしてくれませんか?」

「罪悪感を?」

「ええ。キッカケはどうであれ、今、雅夜は私を愛してくれている。なら良いじゃないですか」

「だけど…」

それは勝手過ぎるんじゃないか?

「私が良いと言っているんです。それに…あなたのその気持ちを分かっていて、利用しようと考えた私にも非はあります」

「利人…」

利人は顔を上げ、額と額を合わせた。

間近で見る穏やかな笑顔に、泣きそうになる。

「どんな感情でも良かったんですよ。雅夜が私を見てくれたのならば。最終的には本当の恋人になれたんですから」

「終わり良ければ全て良しってか?」

「ええ。父の好きな言葉です」

…と言うことは、コイツは外見は母親似だが、中身は父親似ということか。

まあ腹黒くなければ、会社もあそこまで大きくはなるまい。

「ではお互いの気持ちを確かめた上で、恋人関係は続行で良いですね?」

「良いもなにも…。お前、オレが何を言ったって聞かないだろう?」

「それは雅夜が嘘を付くからですよ」

いや、それ以外にも…って考えるだけムダか。

オレを十年以上も追いかけてきたヤツには、何を言ったってムダだ!

「さて。では気持ちの次は」

額を離すと、オレの手を掴んだ。

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