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狂恋 ~狂おしい恋に身を焦がす~【BL】

第1章 10年ぶりの再会


「もたもたして、逃げられるのはもう二度とカンベンですからね」

そう言いながら背広を脱ぎ捨て、ネクタイをゆるめる。

思わず背筋に甘い痺れが走った。

高校生時代、一度体の関係を持つと、後は暴走しまくっていた。

利人はどこでもオレを求めてきたし、オレも利人を求めていた。

連休中には利人の父親が経営する海外のホテルに泊まり、最上階のロイヤルスイートルームで何日も体を重ね合わせた。

幸せだった。

お互いの愛が深まることが、心の奥底から喜びと感じられた。

それは今でも変わらないはず。

だけど…。

「…やっぱり久し振りだと、気恥ずかしいというか、少し怖いな」

「大丈夫ですよ。できるだけ、優しくしますから」

『できるだけ』?

オレが不安に感じている間に、利人は自分の服を全て脱ぎ捨て、オレのスーツも脱がせた。

「ああ…。この十年で、結構変わってしまいましたね。雅夜」

「お前の方が、変わっただろう?」

「そうですか?」

ハーフの恐ろしいところは、成長が凄まじいところだと思う。

高校時代はまだ少年っぽさが残っていたのに、今では一人の男になってしまったんだから。

…しかもフェロモン倍増で。

「雅夜、愛していますよ。もう二度と、私の目の前から消えないでくださいね?」

「ああ」

利人はメガネをサイドテーブルに置くと、ゆっくりオレにかぶさってきた。

十年ぶりに重なる唇。

少し冷えていて、それでいて口の中から甘さが広がる。

「んっ…」

懐かしい感触に思わず手を伸ばし、利人の背中に回した。

「んんっ…雅夜…、愛してますよ」

何度も角度を変え、弾むようにキスをしてくる。

自然と口が開き、スルッと利人の舌がもぐりこんでくる。

「んあっ…!」

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