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my destiny

第4章 Pandora's box

【智side】

「……あの…僕、の」


ユーリは迷う様子を見せた後、頑張って口にしたみたいだったけど、隣にフーちゃんが居るのに気がついて、慌てたように口をつぐんだ。


「「「 ………… 」」」

「…兄貴、すいません、急ぎのメールが入ってました!
俺ちょっと電話してきます」


賢いフーちゃんは、スマホを握りしめて個室を出て行った。

あいつ、優しいな。

翔君が可愛がってるだけはある。

ニノが居たら、出世するタイプだ、って言うだろう(笑)。


「おう、顔、気をつけろよ」


翔君が言ったのは、顔バレするなよ、という意味だ。


「…すみません、気を遣わせて…」


ユーリはまだ、下を向いたままだった。


「…で?どうしたの?」


翔君がユーリの話を聞く体勢に入ったのを見て、オイラも緊張を解く。
今の一瞬のやり取りで疲れてしまった。

なんだか怠くて、部屋に備え付けてあったキョウソク?(和室にある殿様が寄りかかるやつ)を引き寄せて、上半身を預けた。

眠い。


「愛人みたいだって、言われたんです
僕が付き合ってる人から

仕事柄公表は出来なくても、
もっと堂々と一緒に居たいって

本当は、親にも挨拶して、
ちゃんとしたい、って」


愛人、かぁ。
昔、翔君も同じようなこと言ってたな。

オイラは話を聞きながら、ぼんやり考える。

ユーリの声は最初、小さかったけど、段々しっかりしてきて、途中からは翔君の顔をちゃんと見て話してた。

うん、オイラが間に入らなくても大丈夫そうかな。







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