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my destiny

第4章 Pandora's box

【智side】

それで?と、翔君がさっきより優しい声でユーリに言ったから、オイラは耳では話を聞きながら、目をつぶってしまった。

だって開けていられない。


「僕のことを真剣に考えてくれてるのは
凄く嬉しいし、僕も真剣に考えてるつもり、
なんですけど…

仕事に影響するのは避けたいんです
一時の感情で沢山の人に迷惑をかけるのは
違うと思うから…

メンバーにも事務所にも言いたくありません」


ユーリのところは人数が多いから、ウチとは違うだろうなぁ…。

と思ったものの。

今はユーリの話をしてるのに、オイラはつい翔君に任せてしまって、自分の考えに引っ張られる。

事務所に言うとか親に挨拶とか、昔は翔君も言ってた。

二人で何度も話し合って、いつも俺が翔君を止めて。

そのうち、翔君の口からこういう話は出なくなった。


「意外としっかりしてて安心した」


翔君の声がする。
良かった、ユーリのこと見直したみたいだ。


「相手の人は同じ考えじゃないってことだよね
思い詰めてマスコミにリークとかしそうなの?」

「いえ、そこまでは…
ただ、今の状態が辛いみたいで時々責められるので…
ちょっと、どうしたらいいのか、わからないです」


そっか、と慰めるように翔君が言うのが聞こえた。

俺たちだって愛人関係みたいなものだ。

知ってるのはメンバーだけ。

あいつらは運命共同体だから。

オイラは俺たち5人が今まで過ごしてきた年月を想う。

ただ必死に走って来た。

もしも途中でオイラ達の関係が外に漏れるようなことがあったなら、今の5人はいなかったんだ。

ユーリは正しい。

だけど、正しいことを選んで相手を失うこともある。

結果的に、オイラと翔君はお互いの手を離さなかった。

だから言える事であって、今、悩んでる最中のユーリと相手には、何の保証もないのに変わりはない。

翔君はどうやって乗り越えたのかな。

最近のオイラ達はすっかり落ち着いて、変な話、メンバーにも熟年夫婦とか言われてる。

二人とも30代半ばになって、大人になった、ってことかと思って深く考えなかったけど。

今の翔君が俺たちの関係のことをどう思ってるのか、多分、オイラわかってないかもしんない。

オイラは半分ウトウトしながら、ユーリと一緒に翔君の言葉を待った。




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