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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第4章 家の中の二人

家に着くまで、ほとんど口を利かなかった。

「じゃあまた後で」

「ああ」

さすがに制服から私服に着替えるのは自分の家で、だ。

オレは自分の部屋に入ると、カーテンを閉めようと窓に寄った。

すると向かいの部屋に光雅が入ってくる。

光雅もカーテンを閉めるのかと思いきや、いきなり上着を脱ぎ始めた。

「げっ!」

いくらここが八階のマンションとは言え、人目が全く無いわけじゃないのに!

混乱しているうちに、光雅はどんどん脱いでいく。

白くてキレイな背中が目に映った時、オレは思わず胸が高鳴ってしまった。

光雅の体は、男のオレから見てもキレイだ。

だからあの体に欲情したことがないと言えば、嘘になる。

光雅は次に、ベルトに手をかけて…ってヤバイっ!

オレは慌てて携帯電話を手に取った。

『綾、どうした?』

「どうしたもこうしたもあるかぁ! カーテン閉めろ! 丸見えだろうがっ!」

怒鳴ると光雅は一瞬首を竦めた。

そしてすぐに振り返り、こっちを見て苦笑した。

『ああ、忘れてた。ゴメンゴメン』

「いいから閉めろって! 恥ずかしいだろうがっ」

電話で話をしながら、カーテンを閉めるようジェスチャーをする。

『はいはい』

光雅は言われた通り、カーテンを閉めた。

ほっと一息ついたが、次に言われた言葉で再び心臓が高鳴った。

『―ねぇ、綾。興奮した?』

「はあっ?」

そりゃちょっとは欲情したけど…って違うっ!

「羞恥心がねーのか、お前は」

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