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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第6章 妥協する愛?

だからオレは中学時代、光雅の後の生徒会長をやらされたぐらいだ。

他の人間が全くやりたがらないので、教師達に泣き付かれて渋々だった。

「まっ、その辺は真宮会長と話をしろよ」

「そうそう。次期生徒会選挙、そろそろはじまるだろうし」

「オレはとにかくイヤだと言っておく」

オレの意見なんて、そもそも通じる方がおかしいとは思っていたが…。

「生徒会選挙? 綾、会長になりたいのか? それならボクは力になるけど…」

「いや、絶対になりたくないから、口出しもしないでほしい」

昼休み、いつものように二人だけで昼食。

今日は洋風でハンバーガーとサラダ、それにフライドポテト。

…何故、出来立てのように温かいのかは置いといて。

「ていうか、てっきりやれって言うのかと思った」

「そう? でもやりたくないんだろう?」

「やりたくはないけど、書記の時は無理やりやらせただろう?」

「それは会長であるボクの側にいてほしいから。会長となると、話は別」

確かに中学の時も、光雅が会長でオレは書記だった。

しかし光雅が卒業する時には、生徒会のことは何も言わなかったっけ。

…相変わらずワガママなヤツだ。

「―で、留年とやらは考え直したか?」

「どうして?」

真顔で首を傾げやがった。

だがオレはあえて感情を抑える。

そしてクラスメートとの会話を思い出しながら、隣に座る光雅に言った。

「オレさ、やっぱり距離感って大事だと思うんだ」

「うん」

「お前がオレと一緒にいたいって思うのはよく分かるけど、でも一つの歳の差は大事にしたいんだ」

「ああ」

「だから今のままで良いだろう? 大人しく進級して、卒業してくれ。大学は…一年待っててもいいからさ」

高校ぐらいは平穏に一年間、送らせてほしい。

せめてもの妥協だった。

「う…ん。それじゃあ綾は、ボクがこのまま進級して、卒業してほしいんだ? そして一年時間を潰して、同じ時期に大学へ入ろうって?」

「ああ、そうだ」

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