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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第6章 妥協する愛?

光雅はハンバーガーを弁当箱へ戻し、口元を手で押さえた。

考え込む仕種だ。

「ん~。つまりそれが綾の妥協案?」

「…まあそういうことだ。留年なんて厄介なこと、してほしくない」

ついでに言えば、同じ学年にはなってほしくはない。

コレは絶対にだ!

「う~ん…。一年の時間潰しがかなり問題だけど…そうだな。綾がボクの提案を一つ、受け入れてくれたら叶えてあげる」

「…光雅の提案って、何?」

かなーりイヤ~な予感がしたが、聞かずにはいられない。

「一緒に暮らそう、綾」

しかし照れながら言われた言葉に、オレは首を傾げた。

「今もほとんど一緒だろうが」

オレの両親はほとんどマンションに帰ってこないし、光雅もウチに泊まることが多い。

今も同居しているようなもんだ。

「それでも実家は別々だろう? 同じ所に住みたいんだ」

「大して今と変わらないだろう?」

「変わるよ! ボクと綾だけしかいない家が欲しいんだ!」

…コイツは実の両親も邪魔なのかよ?

オレは深く深くため息をつかずにはいられなかった。

「借りる部屋とかは?」

「ボクの方で用意するよ。大学に近い所が良いよね?」

確かに今住んでいるマンションから、大学に通うのは不便だ。

「まあ、な。でもバイトしないと、引越し費用が…」

「それもボクの方で用意するよ。一年間、時間があるんだから」

光雅のバイト…いや、きっとパソコンを使ってイロイロやるんだろう。

モデルとかの話は山ほど来ているが、面倒だと断り続けているし。

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