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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第7章 二人のこれからのあり方

未だに根強いファンがいる。

光雅が少しでも顔を見せれば、卒業式はパニックになっていただろう。

「このまま新居へ向かって大丈夫だよね?」

「ああ、親は先に帰した。また後で顔を出すよう、言われたけどな」

引っ越しは大学に受かってから、少しずつやっていた。

光雅と一緒とは言え、さすがに家を出ることを告げた時、二人はかなり動揺していたっけ。

一応オレがいる場所が自分達の帰る場所だと思っていたらしい。

大学もてっきりマンションから通うものだと考えていたみたいだ。

引っ越す準備をはじめてからというもの、二人はマンションで生活することが多くなった。

少しは寂しく感じていたんだろう。ちょっと皮肉なもんだ。

「大学近くには二人の店もあるし、たまには顔を見せた方が良いよ」

「まっ、気が向いたらな」

光雅は大学受験が終わった後から、新居の方へ住んでいた。

いろいろと準備することがあるからと、一足先に移ったのだ。

この一年、光雅はオレが思っていた通り、パソコンで収入を得ていた。

…どういうやり方かは知りたくもないが、かなりの大金が光雅の元へ集まったらしい。

何せ車の免許を取ったと思ったら、すぐに新車を購入した。

そしてこれから向かう新居だって、一戸建ての庭付き。

中は二階建てで地下一階もある。

都心に一戸建てを購入するなんて…と思ったが、光雅のご両親は不動産を営んでいたことを思い出した。

「これから綾と一緒に暮らせる上、同じ大学に通えるなんて嬉しいな」

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