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やさしく愛して 「改訂版」

第1章 やさしく愛して 「改訂版」

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 詩の話だけでなく、いろいろな話もした。
 「霧子さんとは
  若いのに
  子がつく名前は
  珍しいですね」
 「そんなに
  若くないですよ
  もうすぐ
  30ですもの」
 「いや
  その
  私よりは
  ずっと若い」
 「うふふ
  衛藤さんて
  思いがけないところで
  思いがけない
  ユーモアを
  言うんですね」
 「あはは
  そうかなぁ
  自分では
  真面目に言ってる
  つもりなんですが」
 「うふふ
  なんだか
  かわいいです」
 「いや
  その」
 「父が
  藤原審爾さんの
  『さきに愛ありて』が大好きで
  そのヒロインが
  霧子なんです」
 「私も
  その作品も
  ヒロインの霧子も
  大好きです
  『さきに愛ありて』は
  女性の
  必読書だと思っています」
 「では
  わたしのことも
  好きになって
  くださるのでしょうか」
 「えっ
  はい
  もちろん」
 「うふふ
  赤くなって
  ほんとに
  かわいい」
 「ごほっ
  杉崎さん
  詩のファイルを
  USBメモリに
  コピーしましょうか」
 「いいんですか
  大切なファイルなのに」
 「詩は
  読んでもらうのが
  一番です」
 「では
  そうさせてください」

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