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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第6章 佐倉武・最終話


「そうならそうって、言えよ」

「たっ、武だって、最初から好きなら早く言ってほしかった」

「よく言うぜ。人の気も知らないで、ちゃっかり彼氏なんか作りやがって。顔も頭も良くて、背もスラッとしてて……俺に対する嫌味かって、内心ムカついてたんだぞっ!」


 って、なんか俺……カッコ悪い?


「そうだよね……ごめん。
 でも今日――夕崎君と別れたから」


「あっそう…………って、えぇ!? マジかよ!」


「うん。夕崎君……最初から知ってた。
 私が武を好きだということも、
 夕崎君を利用して、武の気持ちを探ろうとしたことも……」

「俺の、気持ちを……?」


(ヒドいことをしてでも知りたかったっ……こうしたら、わかるんじゃないかって……思ってたっ)

(私だって……本当は好きな人と……っ、つき合いたかった……)


 あ……実果留……。


 実果留が昨日言っていたことを、今ようやく理解出来た。


 夕崎とつき合ったのは、俺の気持ちを知るため……。


 俺の気持ちを、自分がヒドいヤツになってまで知ろうとしていたのか……。


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