
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
「……わっ! 何かジワッて熱くなった! 武、また熱が上がってきてるんじゃないの!?」
「き、気のせいだってっ」
俺は、実果留の手をそっと払った。
ホントは気のせいなんかじゃない。
そのとおりだよ。お前のせいでな。
……なんて、気持ちがバレるようなことは言わねぇけど。
「でも、すでに39度近くもあるし、それ以上熱が上がったら――」
「大丈夫だって。寝てれば治るし。今、時期的に暑いからさ、ジッとしてても汗をかけるから、すぐに熱も下がるだろ」
「……だといいけど……」
「だからさ、ほら。そんなに心配にすんなよー……」
あっ、いけね。ついクセで……。
頭をぽんっとしようとした手を、スッと引っ込めた。それをごまかすため自分の頭に持っていき、痒くもないのにポリポリと掻く。
『頭をぽんっ』は、彼氏である夕崎の役目だ。
俺の役目じゃなくなったんだ。
自分に言い聞かすと、胸がチクっとした。
実果留に彼氏が出来てから、このセリフをどんだけ自分に言い聞かせてきたんだろうか、俺は。
そのたびに、どんだけ胸を痛めつけてきたんだろうか、俺は。
「それにお前……今日……デートなんだろ?」
「あ……うん……」
実果留は、遠慮がちに頷いた。
……だぁくそっ。自分で追い討ちをかけちまった。
さっきから風邪以外の症状が出まくりだ。
悶々としたり、
チクチクしたり、
今度は……胸が苦しい。
