テキストサイズ

たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第2章 佐倉武



『じゃあねー。大人しく寝てるんだよ?』


 いいっ! いらないっ! 水なんていらないから、離れないでくれ!


『アハハッ! そんなに飲みたいの? わかったわかった! 急いで買ってくるから。ね?』


 違うっ! 行かなくていいんだってば!

 頼む! 行かないでくれっ!

 俺のそばにいてくれれば、それでいいから!


『武……じゃあね。私……行くね?』


 っ、実果留!


 くそっ! 動いてくれっ!


 けど、想いは届かず、実果留の姿がどんどん遠くなり……

 とうとう、いなくなってしまった……。


『っ……実果留……実果留っ……』


 んだよっ! 今声が出たっておせぇんだよっ!


 涙が、目から頭の後ろへと伝っていく。


 俺がもっと、しっかりと捕まえておけば良かったんだ。


 実果留はもう……戻ってこない。


 実果留……




 み……



 …………



ストーリーメニュー

TOPTOPへ