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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第17章 修正型電気けいれん療法*(1)

「美優ちゃんの場合、腎臓内科に戻って血液透析を受けなくちゃならないでしょ?でも、このまま精神科のカウンセリングと投薬をしているだけじゃ、いつまでたっても埒があかないっていうか。わかる?」







『なんとなくわかる』






「要するにカウンセリングと投薬以外の方法で、手っ取り早く治してあげたいの」







『そんなことできるの?』






「できる。"修正型電気けいれん療法"っていって、全身麻酔をかけて眠っている間に脳の前頭葉部分に通電させる治療法ならば」






『ちょっと待って。全身麻酔とか電気とか痙攣とか、聞きなれない言葉ばかりで混乱するぅ』






「全身麻酔をかけるときは麻酔科医がいるし、通電時間は20分程度で終わる。うちの大学病院でも年間数十例の症例があるけど、8割の患者さんは社会復帰できるまで回復してるよ」





『それは私に"懲罰"を与える為に
するんじゃないよね?』






「当たり前だ。"懲罰治療"なんてあり得ない」







『だったら私、それやりたい!すごくやりたい!』






「それじゃ決定ね。すぐに手術室おさえて麻酔科医探すから。あとで成井くんに同意書もらってサインしといて」





『うん』






「それじゃ準備するから、また夜の回診で」




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