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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第18章 麻酔科医の術前診察

「聴診するから前あけて。」






『瀧くんに胸を見られるなんて…思ってもいなかったことが起きてる〜』








「知り合いに聴診されるのは恥ずかしいか?」






『ちょっとだけ恥ずかしいけど、"恥ずかしい"とか"嫌"とかワガママ言ったら、精神科の桜庭先生にお尻ペンされちゃうから(笑)』








「お尻ペンって、おまえなぁ…」







『えへへ』







「聴診済んだら、お尻も診てやる。ちょっと待っとけ。」







『お尻はもう平気だよぉーー』







「息吸って〜吐いて〜。もう一回、吸って吐いて」






スーーハーー
スーーハーー







「いいよ。終わり。美優は、今まで大きな病気したことある?」







『特にない。』







「それじゃあ手術は初めて?」






『うん。初めてだからドキドキして胸が押し潰されそうだよ。』






「手術って非日常的なストレスがかかるからしんどいかもな。俺からも桜庭先生に話しとくよ。」






『大袈裟にしないでね。明日は、瀧くんとずっと一緒にいられる事が楽しみでもあるんだから。』








「ああ。朝一番に病室で前処置してから、手術後に目が覚めるまで、ずっと一緒だからな。」






そう言って、私の手を握りしめてくれた。




麻酔科医が瀧くんで本当によかった。







「手術がんばったら、田舎から送ってきたでっかい桃食べさせてやるからな。」







『うん。桃大好きだから、がんばるね。』





「それじゃあ明日の朝に。」





『うん。またね。』








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