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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第18章 麻酔科医の術前診察

瀧くんが部屋を出ていった後、私はずっと窓の外を見ていた。






なんてことはない夕焼けが美しかった。





夕焼けに、帰りたくても帰れない故郷の景色を重ねて、いつの間にか切なくなっていた。






瀧くんに会ったからかな。







「美優ちゃん。」





後ろから名前を呼ばれて、振り替えると桜庭先生がいた。






「黄昏てるの?」






『黄昏てる。ねぇ先生も一緒に見よう。夕焼けがきれいだから。』






「そうしようかな。」






桜庭先生と私は、並んでただボーッと美しい夕焼けを見ていた。






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