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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第4章 VCG検査

★朝の回診

トントン



『ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってね。まだ入ってこないでね』





「ん?どうかした?入るよ」





『もう、待ってって言ったのに。聞こえてなかったの?』





「聞こえてたけど、緊急事態かもしれないから。美優ちゃん、どうして顔を隠してるの?」




『恥ずかしいから』




「もしかして顔が浮腫んでる?」






『うん。だから見られたくない」





「僕はお医者さんなんだけどなぁ〜」





『恥ずかしいからだめっ』




「それじゃあ手足を触らせてね」





僕は、掛布団を捲って右足首を持ち上げてみた。



ふくらはぎが、かなり酷く浮腫んでるな。




「おしっこ出てるか教えてもらえる?」





『出てない』





「最後に出たのは何時ごろ?」





『ずっと出てない』






「出てないんだ。血圧はかってみよう」





手腕も足と同じようにパンパンに浮腫んでた。




「血圧は160の125。これだと苦しいね。おしっこを体から出しちゃわないと」




『そんなことできるの?』





「利尿剤使うか、導尿か?いずれにせよ早くしないと」




『導尿って?』





「導尿っていうのは、おしっこの穴にカテーテルっていう細い管を入れておしっこを出す方法のこと」





『痛そう』





「痛いの嫌?嫌なら利尿剤にしよう」





『うん』






「それじゃあ利尿剤を点滴で入れていくから、トイレに行きたくなったら我慢しないで行ってね」





『はぁい』





「看護師さんに点滴やってもらってから検査室に来てね」





『それじゃだめだよっ。看護師さんに顔見られちゃうもん』





「そんなに酷いの?僕に見せてくれなきゃ分からないよ」






『そんなこと言われても…』





「導尿なら顔を隠したままでも出来るけど、利尿剤がいいんでしょ?導尿なら5分くらいでスッキリするけど、どうする?」





『利尿剤がいい!看護師さんには、"私の顔をジロジロ見ないで"って伝えて』




「伝えるよ。利尿剤で様子みようね」







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