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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第41章 透析*初日のできごと(1)

「さぁそろそろ透析始めよう。まずは体温計ね。」










『うん。』









「透析室のベッドに横になったら、自分で体温をはって、熱があったら必ず看護師さんに伝えて。」









『熱があったら透析は中止?』










「熱があっても中止にはならない。」











『それじゃ風邪引かないように気を付けなくちゃね。』









「シャントの音聴かせてね。」









脇坂先生はシャントに聴診器を当てながら
<発疹・腫張・圧痛・排膿・内出血の有無>
を確認した。









「"ザーザー""ゴーゴー"って音がしてる。問題ないね。」









それから、腕の下に防水シートを敷き
中心から外側に向かって広範囲に消毒した。









『いよいよだ』と思うと胸がドキドキする。









「実は、言いにくくて内緒にしてたことがあるんだ。」










『なぁに?』









「透析に使う2本の針、極太なんだ…。」









『ええっ……まじで?』









「通常の針の2倍くらいかな。表面麻酔を塗るけど、最初だからやっぱり…。」











これはもう、余程の痛みに決まってる。








「我慢できないようなら、タオル噛んでた方がいいかも?」







麻酔のクリームを手のひらにとり、腕に優しく馴染ませるようにマッサージしてくれた。










そして「なるべく痛くないようにするからね」と、言って駆血帯をぎゅーっと巻いた。








『脇坂先生、駆血帯きつく巻きすぎ。痛いってば』







「あ、ごめん。透析穿刺は久し振りすぎて緊張してるかも。」









『先生お願い。ちゃんとやってね。』








「任せて。それじゃあチクッとするよ。」








『いやだぁっ。いたぁーーい。』








「すぐ終わるから力抜いてて。頑張って。」





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