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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第41章 透析*初日のできごと(1)

タオルを咥えてていても、痛みの強さは一緒で『ぎゃああーー。ぎゃああーー。』とまるで断末魔のような悲鳴をあげてしまった。









透析室中に大きな声が響き渡っても
お構い無しだった。








動脈側と静脈側の血管に穿刺し、それぞれに回路を接続してから、血液ポンプがゆっくり動きはじめた。








「美優ちゃん、もう大丈夫だからね。
痛いこと終わったよ。」








『ううう…こんなのが毎回続くなんて耐えられないよぉ…(涙)』









「次からはあおくんが上手にやってくれるから。今日より痛くないよ。」








動脈と静脈の回線をテープでしっかりと固定して
「できあがり」と、脇坂先生は微笑んだ。










「転落防止のベッド策つけるからね。」










『うん。』








「なんか娯楽いる?タブレット貸してもらって映画見れば?」









『透析の間、脇坂先生とお話ししてる。』








「僕ね、病棟から呼び出しがあって戻らないといけなくなっちゃったんだ。」









『行っちゃうの?ひとりぼっちになっちゃうの?』









「ごめん。この後は、あおくんが診てくれるから。」









『ええ、寂しいよぉ。行かないでよおっ。』









「あおくんにお願いしとくから、何かあったらあおくんを頼って。」











『用事が終わったら戻ってきてね。』









「わかったわかった。甘えん坊ちゃんのところに戻ってくるよ。」








『待ってるね。バイバイ』







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