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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第45章 眠れる森の美優*(1)

*翌朝の回診






トントン








「おはよう。美優ちゃん、朝の回診です。」







声を掛けても返事はなく、布団だけがこんもりしていた。






掛布団を捲ると、顔を真っ赤にした美優が
苦しそうにゼーゼーと荒い息をしていた。








「もしかしてお熱が高いんじゃない?」









ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。







すぐに体温をはかると予想通り39℃も熱があり、
いつもと違う咳をしていた。









ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。








「その咳が気になるんだよね。予約しとくから放射線科でレントゲン撮ってもらって。」










ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。











「ああーー、これはまずいなぁ。」







脇坂先生は、珍しく大きなため息をついて
考えこんでしまった。








「肺炎かもしれないから、とりあえずICU(集中治療室)のベッドにうつろう。」









『ゴホッ、ゴホッ。午後から透析室に行かなきゃならないのに。ゴホッ。葵先生との約束破ったら大変なことになっちゃう。』









「今そんなこと言ってる場合じゃないだろ。」







いつも温厚な脇坂先生がイラッとしてた。






「雪遊びは、早めに切り上げてねって言ったのに。窓はちゃんと閉めて寝たんだよね?」








『…ちゃんと閉めた。ゴホッ、ゴホッ。』







「苦しいならもうしゃべらなくていいよ。
とにかくレントゲンが終わったらICUね。
ICUでも透析はできるから後でまた相談しよう」





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