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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第1章 はじめに

僕は、血を見て倒れてしまった女性を抱えあげた。



「彼女の名前は?」と、店長に尋ねた。



「美優ちゃんです。山口美優ちゃんです」と、心配そうに店長が答えた。




「美優ちゃん、僕のことわかる?脈とるね」




「脇坂先生、美優ちゃんどうしちゃったんですか?大丈夫なんですよね?」




「そんなに心配しなくていいですよ。店長さんは、彼女に持病があるとか聞いたことはありますか?」





「ないです。美優ちゃんはいつも笑顔で元気いっぱいで」




おそらくは一過性の脳貧血で、若い女性にはよくあることだと思うが、





「手当てができる場所に移動させましょう」






店長さんが落ち着いてから、胸ポケットの携帯電話を取り出し、外来の看護師さんに連絡した。






「美優ちゃん、とりあえず僕の診察室に行こう」




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