注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。
第10章 PTSD
*一週間後*
「美優ちゃん、少し歩こうか?」
病室よりも歩きながらの方が話しやすいかと思って、お散歩に誘った。
病院の敷地内にある"憩いの場"まで、ゆっくり歩きベンチに腰掛けた。
『外の空気は気持ちがいいね』
「そうだね」
『先生が私を外に連れ出したのは、なにか話があるからなんでしょ?話していいよ』
「透析をしたくない理由について詳しく話してもらえないかな?」
美優ちゃんは遠くで遊ぶ子供達に視線を遣りながら話始めた。
『正直言って私に透析を受ける資格があるのかどうかわからない…』
「それはどういうこと?」
『震災の時にうちの家族はみんな亡くなったのに、私だけが図々しく生き残ったことを時々無情に申し訳なく思うの。本当は私がいなくなればよかったのにって自分を責めてる』
「美優ちゃんが、何度もつらい記憶を思い出して再体験するのはPTSDを患ってるからだと思うんだ。ご家族は天国で美優ちゃんの健康や幸せを願ってくれてるよ」
『本当に私が幸せになっていいの?』
「いいよ。いいに決まってる」
『だったら私、あの日津波にさらわれて生きたくても生きれなかった人の分まで生きて幸せになりたい。そのために透析受けます』
「僕も全力で美優ちゃんを支えていくから一緒に頑張っていこうね」
『うん』
美優ちゃんが久しぶりに見せてくれた笑顔は
キラキラしていた。
「美優ちゃん、少し歩こうか?」
病室よりも歩きながらの方が話しやすいかと思って、お散歩に誘った。
病院の敷地内にある"憩いの場"まで、ゆっくり歩きベンチに腰掛けた。
『外の空気は気持ちがいいね』
「そうだね」
『先生が私を外に連れ出したのは、なにか話があるからなんでしょ?話していいよ』
「透析をしたくない理由について詳しく話してもらえないかな?」
美優ちゃんは遠くで遊ぶ子供達に視線を遣りながら話始めた。
『正直言って私に透析を受ける資格があるのかどうかわからない…』
「それはどういうこと?」
『震災の時にうちの家族はみんな亡くなったのに、私だけが図々しく生き残ったことを時々無情に申し訳なく思うの。本当は私がいなくなればよかったのにって自分を責めてる』
「美優ちゃんが、何度もつらい記憶を思い出して再体験するのはPTSDを患ってるからだと思うんだ。ご家族は天国で美優ちゃんの健康や幸せを願ってくれてるよ」
『本当に私が幸せになっていいの?』
「いいよ。いいに決まってる」
『だったら私、あの日津波にさらわれて生きたくても生きれなかった人の分まで生きて幸せになりたい。そのために透析受けます』
「僕も全力で美優ちゃんを支えていくから一緒に頑張っていこうね」
『うん』
美優ちゃんが久しぶりに見せてくれた笑顔は
キラキラしていた。