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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第11章 真夜中の空腹

『先生、食べ物ある?』




「ここにはないよ。休憩室にはあるかもしれないけど」




『嘘、なにかあるでしょ?
なんでもいいから頂戴』





「ここにはないよ」




先生が真面目に話しているのに
私のお腹はグーグー鳴りっぱなし。




「腕から血が出てるから、お部屋に戻って点滴やり直さないと」




『戻っても絶対に眠れないもん。お腹が空いてて眠れないもん』




「美優ちゃん、夜中に食べると太るよ」




太るなんて動詞で、女子が美味しいものを諦めるなんて思わないでほしい。



『嫌だね。なんかくれなきゃ嫌だ』




昔から言うでしょ?
食べ物の恨みはこわいって。




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