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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第14章 フェロミア

『ねぇ、痛いよぉ』





「まだ何もしてないよ」






『じゃなくて、そんなに強くゴムで縛られたら痛いの』






「あ、そうだよね。ごめんね」





なにげに緊張してるの?






「それじゃあチクッとするよ」





『いっ…いたぁ…』






「あ、血管が逃げちゃった。ごめん。やり直しだわ」





下手くそ。





「今のはリハーサル。もう一回やらせて」






『次は失敗しないでよぉ』






「次はいけるから」







勘弁してほしいわ。






「チクッとするよ」






『い…いたっ…いたぁい…』






「はい、おしまい。よく頑張りました。とれた動脈血みる?」





見せてくれた動脈血は、どす黒くて
グロテスクだった。




「今日の午後、心電図のオーダー入れてあるから検査室行ってきてね」




『心電図やるなんて言ってた?』






「昨日、言ったよ」





そうだ、心臓が悪いかもしれないんだった。





「行ってきてね」





『はぁい』

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