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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第15章 白い鳥かご

★翌朝の回診





「おはよう。朝食後のシロップ薬飲めたかな?」






『もちろん。ちゃんと飲めたよ』






「えらかったね」





『私って薬以外も点滴とか検査もちゃんとやってえらいよね?頑張ってるよね?』







「頑張ってると思うよ」





『それじゃご褒美があってもいいよね?』






「ご褒美って外出許可のこと?」





『うん。先生の次のお休みの日に帰れる?』







「やっぱり帰りたい?」






『できれば帰りたい。先生のお休みがないなら自分だけで帰れるし』





「それは待ってよ。ひとりで帰ってお家で具合が悪くなったら困るでしょう?」






『それはそうだけど』





「美優ちゃんだけで帰らせるなんて、そんな無責任なこと僕にはできないよ」





『脇坂先生が心配してくれるのは嬉しいけど
なんだか鳥籠(とりかご)に閉じ込められてる
小鳥のよう…。本当は大空を飛びたいのに…。』






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