気象系黄色ちゃん受けの短編集
第1章 180゚(SN)
「僕もさぁ、仲良しの子が転校しちゃって。」
「お前も1人なんか。」
「なぁんか他の子とは合わないんだよねぇ」
「お前そんなに人柄良さそうなのにな」
「話題の女優さんとかあんまりわかんないし」
「じゃあどーゆーひとが好きなんだ?」
「櫻井くんとか?」
「は?どーゆー事だし」
「強いし、その制服の着方かっこいいじゃん」
「これか?さっきセンコーに怒られたわ」
「でも素敵だよ?」
嘘だろ?こんなガキに好かれてんのか俺…?
「俺は別にお前に興味ねぇーよ」
「うーん…そっかぁ…」
なんだその悲しそうな顔は。
ちょっとだけ可愛いじゃねーか…。
「じゃあこんなことされても好きか?」
思い切ってガキを抱きしめる。
さすがにこんな不良に抱きつかれたら
気持ち悪くて嫌いになるだろ。
いやなってくれ。
「ふぇっ…さくらい…くん///」
顔を赤らめて腰に手を回してくるガキ。
え…もしかして余計に好かれた?
「離せって」
「僕とお友達になってくれるなら…」
「なんでだよ」
「櫻井くんとなら仲良くできる気がする…」
「………」
「みんなは櫻井くんを怖がってるけど…
僕は櫻井くんとここで一緒にご飯食べたいな…」
こんなこと言ってきた奴初めてだな…
なんでこの子は
こんなにも俺に優しくしてくれるんだろう…
同じひとりぼっちの気持ちがわかるのか…?
俺をひとりぼっちから解放してくれるのか…?
ひとりが楽なんじゃなくて、
誰かといると楽しいんだな…
俺とこの子は対極の世界にいると思ってたけど
対極だからこそ
この子は真っ直ぐ俺を見てくれてるのかもな…
自惚れていいのか…?
「ねぇ…お友達になってくれる…?」
上目遣いが可愛い…
「なんて呼んだらいいんだよ…」
「カズとか、なんでもいいよ」
「分かった……じゃあカズな…」
「……はい♪」
end