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機動戦士ガンダム~サナトリウム~  

第2章 ホスピタル

ジローは医療コロニーの施設にやってきた。

医療コロニーの施設はホスピタルと呼ばれ、高原地にあり、澄んだ空気がとてもよい。

しかし、このホスピタルは末期症状の患者のための施設であり、いわば最期の場所でもある。

病室に向かう途中に通った部屋の中から酷い咳が聞こえてきた。尋常でない悪い咳はいかにも人生の終焉を感じさせるような暗く不気味な葬送曲のような音色に聞こえた。

自分のせいでこんな最悪な結末になってしまった。ジローは杖をついて何とか病室に辿り着くとベッドに横たわって涙を流す。

こんなにも大規模な宇宙戦争が起こってしまったのは巨大人型兵器モビルスーツが開発されたことによるところも大きい。

ジローはそのモビルスーツを開発した主要人物であった。無論、戦争用の兵器としてモビルスーツを開発したわけではない。

スペースコロニーの建造や修理といった建設関係の仕事はポッドと呼ばれる作業用の簡易ロボットで行われていた。

ポッドは本当に簡易製のもので、ちょっとした事故が起こっても生存できる可能性はゼロに近いため棺桶と呼ばれていた。

スペースコロニー関係の建設は人工賃こそよかったものの、まさに命を賭けた危険な仕事であった。

巨大なロボットが人間のように動くことができたらスペースコロニーの作業はもっと安全に、もっと効率的にできる。

これがジローたちがモビルスーツを開発した思いであった。

モビルスーツのおかげでコロニー関係の建設は安全かつ効率的なものになった。

しかし、連邦政府と独立帝国政府の対立が激化するに連れて両軍はモビルスーツに目を付けて、モビルスーツは巨大人型兵器へと変貌していった。

戦争はモビルスーツ戦が主流になり過激化の一途を辿った。

ジローはモビルスーツを開発した責任を負うかのように連邦軍に所属して主力モビルスーツガンダムのパイロットとして戦った。

ジローの能力と機体の性能がリンクして圧倒的な強さを誇ったガンダムは白いヤツとか、白き死神と恐れられたが、終局の戦いではついに無敵を誇ったジローのガンダムも撃墜された。

命こそ助かったものの身体は不自由になり、放射能も浴びてしまい、ジローは余命いくばくとなってしまった。

戦争の凄惨、恐怖を思うと震えが止まらず、その地獄を自分が作り出したのだと思うと激しい懺悔に心を打たれる。

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