果てなき場 ~ boundless field ~ ①
第1章 反逆
山荘にたどりついたのはもうすっかり陽がおちたころだった.
山荘の裏手に目立たぬように馬を繋ぎいつでも脱出できるようにした.
なかに入る.
ディバイン家に長く仕えている山荘管理の老夫婦ジサンとオルデがいるはずだ.
オルデが驚いた様子で
「ゼルバさまどうなされたのです こんなに陽が暮れてからおいでになるなんて」
「エブル公が叛逆した ここもやがて危険になるだろう」
「ご両親さまはどうなされたのですか」
「邸は火をかけられた おそらく亡くなられたのだろう」
「まあ なんて酷いことを」
「二人とも早く逃げたほうがいい 頼れる人はいるね 急いでそこへ移るんだ」
「わたしたちよりゼルバさまはどうなされるのです」
「わたしには考えがある 大丈夫だ スウィイト皇女をお助けしなければ」
「スウィイト姫さま わたしくしたちにも何かお手伝いさせてください」
「だめだ とても危険なことなんだ」
「今さら命など惜しくありません」
「そうですとも なんで命など」
後を追うように老夫ジサンがいう.
「わかった それなら裏手に姫のために乗りやすい馬を用意してほしい それから乗馬にむいた姫の服を揃えてほしい」
「お任せください直ぐにご用意します」
ゼルバは居間に姫を案内して長椅子で休むように勧めた.
「ゼルバさま わたしは迷惑をかける他になにひとつできることはありません 自害させてください」
ゼルバはしばらく声もでなかった.
「どうしてそんな悲しいことをおっしゃるのです」
ゼルバはセレン皇太子がゲルマ征伐の直前にディバイン家を訪れた時のことをおもいだしていた.
「殿下みずから征伐につくべきではないでしょう 御旗を立てた軍ではかえってゲルマを決死の兵にしてしまうだけです もう少し時間をかけるべきです」
「ゼルバ セレンでいいよ 師のお言葉はありがたく拝聴しょう だが もう決まったことだ」
「セレン エブル公には気をつけたほうがいい 何かキナ臭いお方のようだ」
「ゼルバ もしわたしに万一のことがあった時はスウィイトのことを頼みたい 宮廷以外何も知らず わたしの話しを聞くこただけを楽しみにしている わたしが死んだらひどく哀しむだろうから 約束してくれ」
「どうしてそんな縁起の悪いことを」
「約束してくれ」
「約束するよ」
「宮はゼルバの妻になれたほうが きっと幸せになれる気がする」
山荘の裏手に目立たぬように馬を繋ぎいつでも脱出できるようにした.
なかに入る.
ディバイン家に長く仕えている山荘管理の老夫婦ジサンとオルデがいるはずだ.
オルデが驚いた様子で
「ゼルバさまどうなされたのです こんなに陽が暮れてからおいでになるなんて」
「エブル公が叛逆した ここもやがて危険になるだろう」
「ご両親さまはどうなされたのですか」
「邸は火をかけられた おそらく亡くなられたのだろう」
「まあ なんて酷いことを」
「二人とも早く逃げたほうがいい 頼れる人はいるね 急いでそこへ移るんだ」
「わたしたちよりゼルバさまはどうなされるのです」
「わたしには考えがある 大丈夫だ スウィイト皇女をお助けしなければ」
「スウィイト姫さま わたしくしたちにも何かお手伝いさせてください」
「だめだ とても危険なことなんだ」
「今さら命など惜しくありません」
「そうですとも なんで命など」
後を追うように老夫ジサンがいう.
「わかった それなら裏手に姫のために乗りやすい馬を用意してほしい それから乗馬にむいた姫の服を揃えてほしい」
「お任せください直ぐにご用意します」
ゼルバは居間に姫を案内して長椅子で休むように勧めた.
「ゼルバさま わたしは迷惑をかける他になにひとつできることはありません 自害させてください」
ゼルバはしばらく声もでなかった.
「どうしてそんな悲しいことをおっしゃるのです」
ゼルバはセレン皇太子がゲルマ征伐の直前にディバイン家を訪れた時のことをおもいだしていた.
「殿下みずから征伐につくべきではないでしょう 御旗を立てた軍ではかえってゲルマを決死の兵にしてしまうだけです もう少し時間をかけるべきです」
「ゼルバ セレンでいいよ 師のお言葉はありがたく拝聴しょう だが もう決まったことだ」
「セレン エブル公には気をつけたほうがいい 何かキナ臭いお方のようだ」
「ゼルバ もしわたしに万一のことがあった時はスウィイトのことを頼みたい 宮廷以外何も知らず わたしの話しを聞くこただけを楽しみにしている わたしが死んだらひどく哀しむだろうから 約束してくれ」
「どうしてそんな縁起の悪いことを」
「約束してくれ」
「約束するよ」
「宮はゼルバの妻になれたほうが きっと幸せになれる気がする」