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果てなき場 ~ boundless field ~ ①

第1章 反逆

ジサンとオルデはゼルバとスウィイトが暗闇にきえてもしばらくそのままたたずんでいた.
オルデはしくしくと泣いている.
ジサンは怒るように
「縁起でもないよしなさい」
とゆうと自らも顔を伏せてしまった.

夜が明け始めている.
ゼルバとスウィイトの馬が神の宮殿への道を進んでゆく.
ゼルバは自分の馬とは違う振動が後方から伝わってくるのを感じた.
〈多くはない 四騎 いや 五騎か 様子をみにきた小隊がそのまま追ってきたのか さすがに手が早いな 後から来るものはいないようだ〉

「姫 追ってが来たようです わたしはここで迎え撃ちます この道を真っ直ぐに進めば神の宮殿の入り口のまえにでます 振り返らず進んでください」
「ゼルバさま このまま一緒に宮殿に向かい中に入れば…」
「万一途中で追いつかれた場合は不利です 始めから 追ってが少なければ迎え撃つつもりでしたから 心配しないで先に進んでください 宮殿の前でお会いしましょう」

スウィイト皇女はゼルバのベルトの鎧どおしの短剣を見て
「短剣をお貸しください」
「どうするおつもりです」
「身を 守るために お貸しください」

〈確かに身を守るために短剣をもっていた方が良いのかもしれない しかし自害の可能性がすこしでもある限りお渡しすることはできない〉

「だめです」
「わたくしを信じていただけないのですか」
「いまは 信じられません 大丈夫です 心配しないで わたしは必ずいきます」

〈ゼルバさまはいまお一人で 追ってと戦おうとしている これ以上ゼルバさまを煩わせるわけにはいかない〉

「わかりました ご武運を」

スウィイト皇女は神の宮殿へ馬を進めた.
ゼルバは追ってがくるのを待った.
やがて蹄の音がはっきりと聞こえてきた.
待ち受けるゼルバからすこし距離をとってひた鎧の騎兵が五騎 馬の足をとめて対峙した.
鎧の違いで一見して一人は隊長格だとわかる.
〈あれは 近衛小隊長のアンシェムか〉
アンシェムがゼルバに呼びかけた.
「ゼルバ ディバイン殿とお見受けする どちらへ行かれるのか」
「汝にとってそれは重用なことなのか アンシェム近衛小隊長」
「ゼルバ殿ならエブル公から死んでもらうように仰せつかっておりますので」
「帝家のご恩がありながら あまつさえ近衛小隊長の職にありながら皇帝を弑逆するとは 汝に恥はないのか」







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