果てなき場 ~ boundless field ~ ①
第1章 反逆
「確かにわたしは近衛小隊長ではありますが皇帝から禄をいただいてるわけではありません 費えはすべてエブル公がお払いになっておられる 皇族方は民の台所もおもいやらず莫大なつけをお構いなしにおまわしになる エブル公はそれを改めてようとお思いになっただけですよ そうそう あなたのご先祖の宮こそそのことを良くご存知だったではありませんか」
「所詮 汝とは相入れるものはない 本当の騎士は利だけで働きはしない 確かに エブル公は合理的で計算だかいお方のようだ だが 机上だけでは戦う者の心はわかりはしない」
「引かれ者の小唄はこの辺にしてください これだから あなたには死んでいただかなければ」
ゼルバは剣をぬきはなった.
「戦いにつくこと五十数度その身に擦り傷さえ負うことがなかった 我が先祖天衣無縫の御子が戦場で常に佩いていた剣 伝家の宝刀 バジラギリその斬れ味をしりたい者はまえにでよ」
アンシェムは四騎の兵に向かって
「油断せず一騎でけして戦うな四騎で囲むようにして同時にかかって確実に仕留めよ」
〈囲まれてはさすがに厳しいか ならばこちらから仕掛ける 回りこまれるまえに左はしから〉
ゼルバは狙いを定めると馬の腹をけって先に仕掛けた.
回りこもうとする左端しの騎兵に自らの馬を追いに追った.
しなやかに舞う剣が刹那電光のように素早く加速してバジラギリ独特の厚みのある鏨のような刃が籠手を撃ちおとした.
ゼルバは囲まれないように走りぬけ馬が竿だちになるくらいにして素早く向きを変えると直ぐに三騎の左端しをめがけて突撃した.
再びバジラギリが閃くと鉄鎧の肩口をきりさいた.
ゼルバは馬を縦横に走らせて怖気づいた残りの二騎もあっとゆうまに撃ち落とした.
少し離れた所で見ていたアンシェムは背筋をぞくぞくさせていた.
〈聞きしに勝るすさましさだな これが代々の皇帝が兵法の門下として師礼をとってきたディバイン流 ご流儀か ここは逃げる一手しかない〉
アンシェムは最後の一騎が撃ち落とされる前に脱兎のごとく逃げ去った.
追っての心配がなくなったのでゼルバは姫のもとへ急いだ.
神の宮殿の前に止まっている姫の馬が見えてきた.
姫は馬のそばに不安そうに立っていた.
ゼルバは姫のそばで馬を止め おりて姫に近ずいた.
姫も静かにちかずきゼルバの胸に顔をうずめた.
「所詮 汝とは相入れるものはない 本当の騎士は利だけで働きはしない 確かに エブル公は合理的で計算だかいお方のようだ だが 机上だけでは戦う者の心はわかりはしない」
「引かれ者の小唄はこの辺にしてください これだから あなたには死んでいただかなければ」
ゼルバは剣をぬきはなった.
「戦いにつくこと五十数度その身に擦り傷さえ負うことがなかった 我が先祖天衣無縫の御子が戦場で常に佩いていた剣 伝家の宝刀 バジラギリその斬れ味をしりたい者はまえにでよ」
アンシェムは四騎の兵に向かって
「油断せず一騎でけして戦うな四騎で囲むようにして同時にかかって確実に仕留めよ」
〈囲まれてはさすがに厳しいか ならばこちらから仕掛ける 回りこまれるまえに左はしから〉
ゼルバは狙いを定めると馬の腹をけって先に仕掛けた.
回りこもうとする左端しの騎兵に自らの馬を追いに追った.
しなやかに舞う剣が刹那電光のように素早く加速してバジラギリ独特の厚みのある鏨のような刃が籠手を撃ちおとした.
ゼルバは囲まれないように走りぬけ馬が竿だちになるくらいにして素早く向きを変えると直ぐに三騎の左端しをめがけて突撃した.
再びバジラギリが閃くと鉄鎧の肩口をきりさいた.
ゼルバは馬を縦横に走らせて怖気づいた残りの二騎もあっとゆうまに撃ち落とした.
少し離れた所で見ていたアンシェムは背筋をぞくぞくさせていた.
〈聞きしに勝るすさましさだな これが代々の皇帝が兵法の門下として師礼をとってきたディバイン流 ご流儀か ここは逃げる一手しかない〉
アンシェムは最後の一騎が撃ち落とされる前に脱兎のごとく逃げ去った.
追っての心配がなくなったのでゼルバは姫のもとへ急いだ.
神の宮殿の前に止まっている姫の馬が見えてきた.
姫は馬のそばに不安そうに立っていた.
ゼルバは姫のそばで馬を止め おりて姫に近ずいた.
姫も静かにちかずきゼルバの胸に顔をうずめた.