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果てなき場 ~ boundless field ~ ①

第2章 神の宮殿

白銀のフリルのブラウスに紺色のサテンで銀の刺繍の入ったベストにおなじ紺色のサテンのジョッパアズ白のブウツ ゼルバの母が乗馬のときに好んで着たものだが ゼルバは自分の胸に顔をうずめる姫をみていると母の面影がかさなっていた.
〈母の生家のイセキ伯爵家も討たれたのだろうか 御流儀の家でありながら自分の代で帝家が横領されるようなことになっては先祖の御子に顔ばせがない わたしはここで討たれるわけにはいかない〉
ゼルバは忸怩たるものがあった.
ゼルバは神の宮殿のなかに入る決意をかためた.
「姫 神の宮殿のなかに入りましょう」
スウィイト皇女は顔をあげ黒く透きとうる瞳でうなずいた.
宮殿の入り口には扉らしきものはなく開いたままで狭い通路のように奥へ続いているように見える.
日の光がなかにとどくので暗いとゆうほどではないが何も見当たらない.
壁は光沢のある材質のようだがなんでできているのかはわからない.
千数百年の時を経ても中は極めて清浄をたもっている.
ゼルバが前に立ちスウィイト皇女の手を引くようにして奥へ進んだ.
それほど長い距離でわないが 緑色の小さな光がみえ通路全体が白い光につつまれ明るくなるとつきあたりの扉が開きはいってきた入り口は壁のなかから扉が現れ閉じてじまった.
緑色の光はつきあたりの扉のよこの壁にある小さな部分が光っているものだった.
ゼルバは姫を気づかったが姫はすこしも恐れるようすはない.
開いた扉のなかも白い光で満ちてなかがはっきりみえる.
見たことのない異様な設えだった.
ゼルバは恐れず進んだ.
突然 女の声がした.
「ようこそ」
「誰だ」
「わたしは人工知能の良子です」
「人工知能とはなんだ どこから話している」
「人工知能をあなたがたに分かるように説明すると十の一千乗桁の自動計算機による人の思考を演算処理によってうつしたものです」
「汝は人ではないのか」
「人ではありません 機械です」
「機械ならどうして言葉が話せる」
「あなたがたの中枢神経を走査して大脳の言語野の言語組織を解析しました それで話せるのです 声は音声の振動を電流に変換し電流にうつしとられた振動を再び空間に伝えるスピイカアと呼ばれる機械から出ています」
「電気とはなんだ」












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