朧と弦之助
第1章 千秋楽
「弦之助さまに稲を植える用意ができましたと伝えてくれんかね」
「お伝えしましょう」
かの船で父を亡くした少年が答える
少年もまた田の開削をずっと手伝ってきた
三百石もある田の開削が終わって弦之助を笛の師として慕い今は一緒に暮らしている少年の喜びもひとしおだった
朧さまは手ずからおつくりになる膳部のために途中で畑の物も取ってから帰ろうとおもっている
弦之助は南蛮のパードレから養蜂の巣箱やアカシアの花の種などを手に入れ養蜂をはじめて村人にも養蜂を勧めていた
カボチャや唐黍の種苗などもてにいれ自ら畑に植えてみた
朧は料理をくふうしては弦之助に食べさせた
「カボチャを焼いてみました どうでしょう 弦之助さま」
「穏やかな甘味があって滋味で炒り栗とはまた違って ねっとりとしてとても美味しい」
「これは 大根の千切りを蜂蜜をおすと合わせて甘酢にしたもので和えてみました」
「朧殿はとても料理の才があるようだ 村の人たちにも教えてあげたらきっと喜ぶだろう」
仲睦まじい朧と弦之助と一緒にいただくえにも云われぬ美味な膳は少年には夢のようでとても幸せな気持ちがしていた
弦之助はこの地で地侍として朧と生きて行こうとしている
野菜をいれた籠を背負って館までの階段を嬉しそうに登ってゆく少年
座敷では弦之助の笛に合わせて朧が舞っている
「お伝えしましょう」
かの船で父を亡くした少年が答える
少年もまた田の開削をずっと手伝ってきた
三百石もある田の開削が終わって弦之助を笛の師として慕い今は一緒に暮らしている少年の喜びもひとしおだった
朧さまは手ずからおつくりになる膳部のために途中で畑の物も取ってから帰ろうとおもっている
弦之助は南蛮のパードレから養蜂の巣箱やアカシアの花の種などを手に入れ養蜂をはじめて村人にも養蜂を勧めていた
カボチャや唐黍の種苗などもてにいれ自ら畑に植えてみた
朧は料理をくふうしては弦之助に食べさせた
「カボチャを焼いてみました どうでしょう 弦之助さま」
「穏やかな甘味があって滋味で炒り栗とはまた違って ねっとりとしてとても美味しい」
「これは 大根の千切りを蜂蜜をおすと合わせて甘酢にしたもので和えてみました」
「朧殿はとても料理の才があるようだ 村の人たちにも教えてあげたらきっと喜ぶだろう」
仲睦まじい朧と弦之助と一緒にいただくえにも云われぬ美味な膳は少年には夢のようでとても幸せな気持ちがしていた
弦之助はこの地で地侍として朧と生きて行こうとしている
野菜をいれた籠を背負って館までの階段を嬉しそうに登ってゆく少年
座敷では弦之助の笛に合わせて朧が舞っている