
私の弟を好きになってもいいですか
第1章 弟ができました。
とにかく男を見る目がないから、「再婚することになった」なんて言われても疑ってしまう。
「今回は大丈夫よぉ! だってお相手は大手企業の社長さんだもの」
「はあ? なんでそんな人が母さんにプロポーズするのよ。また騙されてるんじゃないの?」
「ふふ、彼はね、長年店に通ってくれた常連さんなのよ。だからどんな人かはよ~く知ってるわ。3年前に奥さんに先立たれて、ずっと息子さんと二人で過ごしてきたの。寂しいからって私と話すようになったんだけど、ついに一緒に住まないかって告白されて…オッケーしちゃった!」
「え…それってプロポーズなの?」
「プロポーズに決まってるじゃない~。こんなに素敵な指輪をプレゼントしてくれたのよ♪」
喜ぶ母には悪いが、私は完全には信じられなかった。
とにかく母はよく考えないで突っ走るところがあるから、ちゃんと母にふさわしいかどうか、私が見極めないと…。
「あ、今週土日にキャンプするから色々準備しておきなさいね」
「はっ!?」
「うふふ、キャンプは彼の趣味なの~」
