
私の弟を好きになってもいいですか
第1章 弟ができました。
「はあ? なんでまだ会ったことない人たちとキャンプしなきゃいけないの!?」
「心配しなくても大丈夫よぉ。成瀬さんはアウトドアの達人だし、その方が緊張もほぐれて楽しく話せるでしょ♪」
「ムリムリ! キャンプなんてしたことないし、やりたくもないし…それに私は土曜日は彼氏とデートなんだからね!」
「あら? あかり、彼氏がいたの?」
「……」
「じゃあその彼氏も連れてきていいわよぉ♪」
「ええっ!?」
まさかその彼氏は乙女ゲームのキャラだなんて言えない…。
しかも一度決めたら誰がなんと言おうと絶対に実行する母は、私には止めることができない。
「……わかったよ」
私は渋々承諾した。
こんな母だけど、こんな母だからこそ今まで家計を支えてきてくれたってのもある。
私が乙女ゲームをできるのも母のおかげなのだ。
だからその借りは返さなくてはいけない。
「ハヤトくん…一緒に行ってくれる?」
私はゲーム機の画面に向かって呟いた。
