その恋を残して
第6章 ここにいるよ
※ ※
一夜が明け、今日は金曜日。
朝、いつものコンビニに現れた彼女は、俺を見て微笑んだ。
その顔を見た俺は、彼女が蒼空であると知った。今日、現れるのが蒼空の方だと認識しているからではなく。俺は表情と佇まいだけで、それを実感できた気がしたのだ。
「おはようございます。まあ、ホントに酷いですね――その顔」
「ああ、これね――」
俺が顔の怪我について説明しようとすると――
「怜未に聞いてます。それにしても、松名くんがケンカだなんて……駄目じゃないですか」
珍しくキュッと眉根を寄せ、蒼空は俺を睨んだ。
「す……すみません」
内田の件について、どこまで聞いているのだろうか。しかし、ケンカが駄目と言われれば、それはその通りだ。まずは素直に謝る。そしたら――
「フフ、いいですよ。許してあげます」
「どうも」
蒼空があまりにあっさりと機嫌を直したので、俺たちは顔を見合わせて笑った。
「他のことも……聞いていますよ」
「他のことって――?」
「松名くんが、怜未に言ってくれたこと……」
俺は顔面が急速に紅潮してゆくのを感じた。熱くなった俺が怜未に言ったこと、その全てが恥ずかしくてたまらない。もちろん、本心から出た言葉ではあるのだけど……。
「わたし、嬉しいんです。松名くんに怜未ことを、想いやってもらえて――」
「あ……うん……」
俺はなんと言っていいのかわからずに。でも、蒼空がそう言ってくれたことが、なによりも嬉しかった。「嬉しい」と、蒼空なら、きっとそう言ってくれると信じていた。
「怜未だって、きっと嬉しかったはずです。怜未はずっと、たぶん私の身体を使うことを重荷に感じていたんですよね……」
「蒼空は、怜未がその……悩んでいるのを知っていた?」
「あの娘は、決して言わないから。だけど、感じたことはあります」
「そっか……」
「とにかく、怜未の心を支えてくれて、ありがとうございました」
「蒼空……」
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