テキストサイズ

その恋を残して

第7章 眠り姫……か

 前の週の蒼空の態度は、少なからず気になってはいたけど。蒼空と怜未がクラスに来てから三週目は、割と平穏な日々となっていた。

 そして、その後の蒼空の様子には、別段変わった風もなかったから。俺はすっかり安心していたのだと思う。

 怜未にしても、素直でないところは相変わらずであったけども、俺に対しても概ね好意的に接してくれている。そして朝晩のコンビニと学校の往復を、蒼空と同様に俺と歩くようになっていた。

 俺と彼女たちの仲に、これといった進展は無い。でも、今はそれでいいと思う。携帯の番号を交換したり、互いの誕生日を教え合ったり、その他にもテレビの話題とか趣味の話とか、そんな平凡なやり取りをしたり、なんて。

 そんな他愛のないことが、今は新鮮だと感じられた。

 だけど、そんな平穏が崩れたのは、この週の金曜日のこと。

 その朝に――。

 いつものようにコンビニにいると、突如として着信を告げる携帯。俺はそれをズボンのポケットから取り出した。

「ん?」

 着信を確認すると、蒼空と怜未の(共有する)携帯から。

「怜未?」

 通話に応じてその名を呼んだのは、今日が怜未の日だったから。でも、携帯から聴こえてきたのは――

『松名さまで、いらっしゃいますか?』

 重厚な沢渡さんの声だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ