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その恋を残して

第7章 眠り姫……か

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 なんとか木崎先生を言い包めると、俺は誠二さんの運転する車に乗り込んでいた。車を走らせながら、話をするようだ。

 先生もああ見えて、俺や蒼空のことを心配してくれたらしい。去り際に「松名。なにか困ったら、すぐに言ってこいよ」と、そんな風に言ってくれた。

 そんなところは、とても男前なのだけれど。あれで、もうちょっとだけ女性らしさがあったらなって、外見は確かに美人なだけに些か残念に思ってしまう。まあ、大きなお世話だけど。

 ともかく、俺はすぐにでも話を聞きたいと、黙って運転を続ける誠二さんの横顔を見やった。

 車は特に目的もなく走っているようで、少なくとも蒼空たちの家にも、誠二さんのクリニックにも向かってはいない。

「君の目から見たのなら――」

 前を見て運転をしながら、誠二さんは突如としてそんな風に話を切り出した。

「――僕は大人で、しかも医者で。だから世の中のことなんて、大抵のことはわかっている。そんな風に見えるのかもしれないな」

「……?」

「だが、実際は多くのことを知らない。大人としても医者としても、まだまだ未熟者だ。以前に話した怜未のことにしても、果たして僕の見解が正しいものか……それだって絶対の自信があるわけじゃないんだ」

 さっき、俺が蒼空と怜未の状況を訊ねた時に、誠二さんは取り乱していた。今の話を聞いて、そんな想いの一端を理解した気がした。

 医者という立場上、怜未を『交代人格』としながらも、蒼空の身を本当に案じているのがわかる。

「すいません……俺、とにかく心配だったから」

「いいさ。僕の方こそ、興奮してしまって悪かったね」

 互いに自分の感情を優先させたことを詫びると、今度は勤めて平静に話を続けた。

「それで……今、彼女は?」

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