その恋を残して
第7章 眠り姫……か
今の誠二さんを前にして、蒼空と呼ぶべきか怜未と呼ぶべきか。そんな戸惑いを覚えつつ、俺は自然と『彼女』という言葉を使った。
「沢渡さんからの連絡を受けて、僕の方で診察をしている。熱はさほど高熱ではないし、風邪の症状も認められなかった。それなのに……」
交差点の赤信号で停車すると、前を睨むように見つめ誠二さんは言った。
「蒼空は目を覚ますことなく――眠り続けている」
「目を……覚まさない?」
「ああ……沢渡さんの話からすると、昨夜、眠りについてから、ずっと……。朝になって声をかけても、まるで起きる様子を見せていない。そして、それは今も同じ……」
「昨日からって……もう、丸一日じゃないですか?」
俺は只ならぬ状況を聞き、心をざわめかせる。そうした時に、それを口にすることに迷いはなかった。
「お願いです。俺を蒼空の元に、連れて行ってください」
しかし――
「駄目だ」
誠二さんは、冷たく言い放った。
「ど、どうして……?」
「身体には特に異常は見受けられない。そうなると、精神的な部分に起因している可能性を考えなければならないだろう。特に蒼空の場合は、そうだ。つまり僕はね、松名くん――君との関係が、大きな要因になっていると疑っているんだよ」
「俺との関係……」
「君は僕の忠告を無視して、怜未に関わっていたんじゃないのかい?」
「沢渡さんからの連絡を受けて、僕の方で診察をしている。熱はさほど高熱ではないし、風邪の症状も認められなかった。それなのに……」
交差点の赤信号で停車すると、前を睨むように見つめ誠二さんは言った。
「蒼空は目を覚ますことなく――眠り続けている」
「目を……覚まさない?」
「ああ……沢渡さんの話からすると、昨夜、眠りについてから、ずっと……。朝になって声をかけても、まるで起きる様子を見せていない。そして、それは今も同じ……」
「昨日からって……もう、丸一日じゃないですか?」
俺は只ならぬ状況を聞き、心をざわめかせる。そうした時に、それを口にすることに迷いはなかった。
「お願いです。俺を蒼空の元に、連れて行ってください」
しかし――
「駄目だ」
誠二さんは、冷たく言い放った。
「ど、どうして……?」
「身体には特に異常は見受けられない。そうなると、精神的な部分に起因している可能性を考えなければならないだろう。特に蒼空の場合は、そうだ。つまり僕はね、松名くん――君との関係が、大きな要因になっていると疑っているんだよ」
「俺との関係……」
「君は僕の忠告を無視して、怜未に関わっていたんじゃないのかい?」
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