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その恋を残して

第8章 ……ちゃった、ね


 そうだ――結局、怜未のことを避け続けるなんて無理に決まってる。その現実を、蒼空自身から突きつけられれば、どんな顔をしたらいいのかさえ、俺はわからなくなった。

「ごめんなさい。私……意地悪でしたね」

「そ、蒼空……」

 やや間を置き、蒼空は俺にこんなことを聞かせる。

「松名くんも聞いている通り。一日に一回――私と怜未は、話をすることができます」

「あ、ああ……眠りにつく前の、蒼空と怜未が入れ替わる時だね」

「そうです。その時に、私たちがどんなことを話しているか、松名くん――わかりますか?」

「うーん……その日にあったこととか、次の日の予定とか?」

「もちろん、それもあります。けれど、知識や単純な記憶は自然と共有できます。ですから、主に話すことはお互いの一番……知り得ない部分のこと」

「それは、なに?」

「すなわち、感情です」

「……!」

「こんなことがあって嬉しかったとか。その時、どう思ったとか――私たちは、ずっとお互いの感情を語り合ってきました。だけど今の学校に来てからは、違っていたんです。きっと、松名くんと出逢ってから――」

「俺と……?」

 蒼空はゆっくりと頷く。

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