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その恋を残して

第8章 ……ちゃった、ね


 ……………………。


 時間がどれくらい経っていたのかは、わからない。たぶん俺は、もう夢の中にいたのだろう。

 寝ている俺の頭上に、二つの人影が見えた気がした。

 白くフワフワとした衣を身に纏っているのは、俺と同じくらいの年ごろの少女?

 空中に浮かぶようにして、その二人が向かい合っていた。


 あっ……!


 二人の顔を仰ぎ見た俺は、それが蒼空と怜未であることに気がついた。

 だけど、身体は全く動かすことはできず。二人も、俺の存在には気がついていない。

 そんな不思議な夢の中で、蒼空と怜未は話し始めていた。

 どうせ夢なんだから、そうは思いながらも。俺はやがて、二人の交わす言葉に聞き入っていた。

 その内容を、心に留めておかなければならない――強くそう感じていた。

 目覚めた瞬間に、この夢の記憶の尻尾を、するりと掴み損ねてしまうこと――二人の言葉を忘れてしまうことを――何故だか、とても恐れたのだ。

 何故なら――今、二人が話していること――は――――――――



『松名くん!』



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