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その恋を残して

第8章 ……ちゃった、ね


    ※    ※


「――!?」


 すぐ耳元で、元気な声で名前を呼ばれた。俺はびっくりして、飛び起きる。

 すると――

「アハハ――起きた起きた!」

 明るく笑ったのは、間違いなく――

「怜未!」

 ――なの、だった。

 部屋の中が明るくなっている。もう既に、朝だ――。

「ところで、松名くん――」

 怜未に寝起きの顔を、覗き込まれて。

「は、はい……?」

 俺は布団を掛け直すようにして、身構える。

 すると、怜未に訊かれた。

「なんで、私の隣で寝ているのかなぁ?」

「あ、いや……違う。こ、これには深い事情があって……どう話せばいいのか。と、とにかく変なことはなにも……」

 慌ててしどろもどろになる俺を見ると、怜未はニッと悪戯っぽく笑った。

「冗談だよ。蒼空から聞いてる」

 そうだよな……。なんにせよ怜未の元気な姿に、俺はホッとする。

「今日は、いい天気みたいだね」

 怜未がカーテンを勢いよく開くと、眩しい朝日が俺を照りつけた。

 怜未の言葉通りの晴天に、俺は目を細める。

「というわけで、松名くん――」

「なに?」

「デートしよっか」

「へ……?」

 思わぬお誘いを受けて、俺の眠気が宇宙の彼方まで吹っ飛んでいった。

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