その恋を残して
第8章 ……ちゃった、ね
それから俺たちは、買い物で色んな店を見て回ったり、ランチをしたり、公園の遊具で遊んだり、クレープを食べながら歩いたり、些細な会話で盛り上がったり――ごく普通のデートを楽しんだ。
「あ、かわいい!」
クレーンゲームの前で怜未が欲しいといったのは、猫のキャラクターのぬいぐるみだった。
「よし……!」
なんとかそれをゲットしようと、奮い立つのだけど。
「あれ? くそ、もう一回」
やはり俺は何事にも不器用らしく、何度やってもぬいぐるみはアームの間をすり抜けてしまうのだった。
「松名くん。もう、いいよぉ……」
「ま、待って……もう一回だけ。今度は絶対に」
「ダメだってば! さっきから見てるけど、ぜんっぜん――取れる気がしないんだもん」
「ええっ! そんな風に見てたのか? 怜未が欲しいっていうから、必死でやってたのに……」
「アハハハ! ゴメンね」
この日の怜未は、とても楽しそうに笑っている。だから怜未につられるように、いつの間にか俺も笑顔になれた。
こんな怜未は、今までに見たことがなかった。
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