テキストサイズ

その恋を残して

第8章 ……ちゃった、ね


    ※    ※


『怜未――許して、私……』


『蒼空が謝ることなんて、なにもないよ。蒼空には感謝しても、しきれないくらいだから』


『それは、私も同じなの。怜未がいたから、私は生きてこられた』


『でも――蒼空は、もう大丈夫だね』


『どうして――そんなことを言うの?』


『今――蒼空には、松名くんがいてくれるから』


『怜未……』


『蒼空は私に、半分の刻をくれた。そのおかげで私も、恋をすることができたよ。だから、もう……』


『怜未、どこにも行かないで! ずっと、私たちは一緒でしょう?』


『このままじゃ駄目だよ』


『どうして?』


『何故なら――私だっていつか、松名くんを独り占めしたくなるかもしれない。そうなれば、蒼空を苦しめることに……それだけは、できない』


『……!』


『だからね、蒼空』


『怜未……?』


『あと一日。一日だけ、私に頂戴』


『一日、だけ……?』


『私の初めての恋の結末――それを知りたいと思うの。そして、恋の終わりを合図として、私は蒼空から旅立ってゆく……』


『怜未……怜未……』


『蒼空、泣かないで――私の恋と蒼空の恋が一つになるの。それは、とても素敵なことだよ』


『もし、恋が終わらなかったら? そこから始まるかもしれないでしょう?』


『それはないの。松名くんは心から、蒼空のことが好きなんだ。だから、きっと……』


 でも、もしかしたら――?


ストーリーメニュー

TOPTOPへ